FESTIVAL of SIDEWAY TROPHY〜クラシックカーレースの世界。

レースに向けて。

 

5月27日、袖ヶ浦フォレストレースウエイにて開催されたFestival of Sideway Trophy ( FoST ) は今回初めての試みで、2ドライバー制の耐久レースが行われた。

遡る事数ヶ月、1930年代から1980年代の英国製ヴィンテージカー/クラシックカーを専門とする主催のPARC FERMEに顔を出した時の事「次のFostで2ドライバー制の耐久レースを開催する予定で、MG-Bのレースカーがあるから小野さん乗らない?。」が発端だった。

10代からポンコツ英車に随分乗ってきたし似た者同士で無茶な走りもしていた。20才前後にバイトで入った会社の直属の上司である部長と専務がレーシングメイト出身者だった。「お前のTR-4レーシングカーにしてクラシックカーレースしないか?。レーシングメイト全面バックアップするぞ。」

20才そこそこのガキには夢のような申し出に勿論快諾。が、今と違い当時は英国からパーツを取り寄せるのも大変で、クラッチレリーズベアリングが焼き付きフォークまで削れてミッションを降ろした状態で手も足も出ない時だった。

結局パーツが全て揃うのに約3年かかりレーサー化計画は立ち消えてしまった。

この3年がスーパーカブと出会い二輪も徐々に深入りする切っ掛けとなったし、つなぎの車としてベレット、MGB、アルファロメオなど色々乗る機会にもなった。

そしてFoST参加に関しては昔取った杵柄?的な感覚で軽い気持ちでお受けした。しかも、30数年前に一時期乗っていたMG-Bはなんとも穏やかで”もっさい”印象しか無かったから気後れもしなかった。

コンビを組むクニさんから「とにかく素直な車だから。」と聞いてはいたが今ひとつイメージが湧かなかった。

レース直前になりMG-BのエンジンOHも終わり、時折進捗を覗きに行っているうちにMG-Bがカッコ良く見えてくる様になり、愛着のような感情も芽生えてきた。

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そしてバケットシートと4点式ベルトのフィッティング。

幸い相方の体格も近かったので調整不要だったのはラッキー。

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ハードトップにドライバー名を書き込んで後は本番をまつのみ。

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数日後、レース前日に車両積み込みやサーキットの設営準備のため朝から荷物満載でMG-Aで出かける。が、悲しい程積載量が少ない車は着替えその他をバッグから出して詰め込む事に・・・・。

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午前中は2tのパネルトラックに機材等を積み込み、午後一から積載車に車の積み込み。

このトラックがギミックに満ちて実に素晴らしかった。

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レースカー4台を無事積み込み袖ヶ浦へ。

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やはりトランスポーターはサーキットがに合う。環八で積み込む時とは違う積載車に見える。

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さすがにレースカーはパドックに並ぶと俄然説得力がある。

テントやフラッグ、本部の設営を終え近くのホテルに引き上げ前夜祭。まぁオレは酒飲まないのでソフトドリンクで。

 

いよいよ本番当日。

 

このFestival of Sideway Trophyというクラシックカーレースの特徴の一つは時代背景の再現。

英国のGOODWOODで行われているGoodwood Revivalの様な主催側、参加者、観客全てが50年代〜60年代のファッションをドレスコードとして世界観を作っている。

言わばFoSTはその日本版といえる。

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グリッドガールもこの通り。(去年の写真だけど)

そして当日、レーシングスーツに着替えるまではこんな感じに。

今風な細身のパンツではなく、2タックの太目のパンツがセットされたスーツはクラシックスタイル専門のアメリカのショップから取り寄せた。

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そしてピットは左が横山剣氏で右が生沢徹御大。両側は常に人の輪が出来ており落ち着かない雰囲気。笑。

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後で記すけれどこのマーコスが100倍楽しいレースにしてくれた。

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その他普段仲良くさせて頂いている方々や見知った顔も多く実にリラックスした雰囲気の中本番を迎える。

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メット、グローブを用意して慣熟走行にそなえる。

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初めてのコースに初めての車で無事慣熟走行を終えたところで1コーナー手前の給油所で給油。トランクリッドを外し安全タンクに給油するあたりはイッチョマエな感じ。

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今回の耐久レースは変則ルマン方式でスタート。

ドライバーが走るのではなく、ドライバーはコックピットで待ち、駆寄るコドライバーのタッチを受けてエンジンスタートで飛び出して行くスタイル。

今回、初めてのコースに当日初めて乗る車なので最後尾スタートでお願いした。

最後尾って言ったのに結局後ろから2番目スタート。笑

 

ここで運命のイタズラ。飛び出す瞬間エンジンストールするも素早くリカバリーしてまぁまぁのスタート。そのまま1コーナーへ。するとすぐ前に3番グリッドだったマーコスが!。どうやらスタートで何かあったらしい。

マーコスを駆るD氏とN氏はバイクトライアル等で一緒に遊ぶ間柄。しかも両氏はこのレースに毎回バイクで参加していて大抵表彰台に立っている猛者。このコースをよくご存知なはず。これはなんとか付いて行かなくては!。

1000ccのマーコス対1800ccのMG-B。先入観からとっさに1コーナー立ち上がりで千切ってやろう。どうせコーナーで刺されるんだろうし。と思うのもつかの間で立ち上がり早々マーコスが離れて行く!。これには焦った。流石FRPモノコックの軽量レーサーだ!。

ところが驚いた事にコーナーでMGがマーコスに詰め寄る。そうか!クニさんが言っていた「素直な車」ってこういう事か!。オーバースピード気味でコーナーに突っ込んで滑らせながらカウンター当てる事も無く思ったラインでコーナーを抜ける。

自分の腕レベルだと全く姿勢に影響が出ない。エンジンはそれほどパワフルではないけれどシャーシが遥かにエンジン性能を超えるレべルになっているのだろう。

インからアウトから何度もマーコスを刺す事が出来る。が、立ち上がりで抜き返される。実にスタートからドライバー交代までテールツーノーズのドッグファイトに終始した。

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途中1コーナーをノーブレーキで攻めたD氏が目の前でスピンした時は「どうする?どっち?どっち?どっちに逃げる?オレ!」って焦った場面もあったけれど難なくクリアし、ミラー越しにまだ回っているマーコスを引き離そうと思ったけれどヘアピンまでに追い付かれ、立ち上がりで抜き返された時は気が抜けた。笑。

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こうしてなんとか無事に次のドライバーのクニさんへバトンタッチ。

とにかく夢のような時間を過ごした。その後のレースを見守っていたが、MGは他の車と絡む事無く単独で淡々と周回して耐久レースは終わった。

気心知れた相手と全く違うタイプの車で、スタート順位も離れた二台が終始ドッグファイト出来た事は一種の奇跡じゃなかろうか。

 

すっかりMG-Bが気に入ってしまったが、MG-AとMG-Bの2台持ちなんて真っ平ゴメン。でもあんな楽しい車無い。まさかMG-Bがこんなに気に入ってしまうなんて驚きである。だいたいオレはTR党なんだから?。

 

 

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