ベントレーをモディファイ。
無い物は作る。しかたなく。
何年も前に古いベントレーを入手した。ロールズ・ロイス シルバーシャドウのベントレー版である"T"シリーズを。ヒストリーを見ると、1977年にビバリーヒルズで不動産業を営む”レオ”という男がオーダーした車らしい。名前が同じじゃないか!。
現在の姿。
大した違いではないが、手元に来た時は少し様子が違った。
元々デビューしたのが1965年。しかしこの個体は1977年式で"T2"と呼ばれる後期型。主要マーケットが北米だったためだろうか、後期型からは全車GM製ATやエアコンが標準となり、ステアリングがボール式からラックアンドピニオンになるなどの有り難い改良がされた。しかし!、頂けないのは‘77から全車北米仕様の5マイルバンパーが装備された事だった。
メカニカル的には進化し熟成した反面、見た目は残念な事になっていた。
ローバーミニをアウターヒンジにモディファイする様に、コイツも中身は後期型で外装は前期型にしてやろう。と。
目指したの前期型のこの雰囲気。
そしてBefore-Afterを。なんとも情けないウレタンバンパーの後期型。
ではその過程を。
作業自体は会社で空き時間を利用してコツコツ解体から始めるわけだが、肝心の初期型バンパーが入手出来なければ話しにならない。
調べてみるとアメリカに様々な旧車のバンパーをバイオーダーでリプロダクトしてくれる会社があった。工場はベトナムらしいが・・・。
メールで細かいやり取りをして待つ事3ヶ月!。フロント5ピース、リア5ピースの計10ピースに分解されてコンパクトになった航空貨物がやってきた。
組み立て終わるまで不安だったが(ボルト穴が合わず開け直したのは想定内)組み上がった姿は完璧だった。しかもアイアンと謳っていた材質が届いてみるとステンの磨きだったのは得した気分。
これで安心して車両側のバラしを開始する。
2.5tの車体が5mi/h=8km/hで衝突してもヘッドライトが破損しない事が求められる衝撃吸収ダンパー。これを帯鉄のL字型ブラケットに置き換えるので採寸し図面化。
こんな感じでステーやブラケットを作図。ボルト穴はフィッティング時に微調整が可能になる様楕円穴にしておく事に。そして次はバンパーとボディの隙間を埋めるフラップ製作。
前期型はヘッドライト下にホーン用楕円開口があるが、後期型は塞がっている。
何とも間が持たないので手持ちのLUCASスポットをつける事にした。良いではないか!。
ボディにフラップをしっかり溶接し、ひび割れしない様にパテには繊維を混ぜてある。
入念なサンディングの後にいよいよ塗装。
前期型と後期型はグリルサイズも違う。しかし、リプロダクトバンパーは前期型を忠実に再現してある。
その2つをブラケットの上下/前後の調整と、フラップ形状を工夫した甲斐あって違和感無くまとまったと思う。(自己満足)
このコンバートを行ったのは今から5〜6年前。同型の車に乗る数人の海外オーナーに図面や行程写真・手順説明などを求められて送ったけれど、出来上がったという報告は・・・・無い。
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